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事項だけが残され、教育・訓練や資格証明の技術的要件は新しく設けられたSTCWコードに移されることになった。これにより技術の進歩や情勢の変化に応じて、具体的な要件の改正をタイムリーに行うことが容易になった。また、従来は各部(各章)ごとに含まれていた「当直」に関連する規定や「資格証明書の更新」「身体適性」についての規定は、まとめて一本化されることになった。

 

3. STCW締約国会議(改正条約採択会議)

 

「1978年STCW条約締約国会議」は「STCW−F条約(漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約)会議」と並行して、1995年6月26日からロンドンのIMO本部において開催された。会議は、直前になって今回の条約改正の焦点である第?o章の「選択的資格証明制度」や第?T章の「情報の送付」に関する規定を全面的に削除すべしという強硬な提案が提出されるなど、波乱含みの展開となったが、この改正を何としても実現したいというIMO事務局の熱意と、改正作業に費やしたこれまでの努力を無にしたくないという各国の妥協により、7月7日「条約改正付属書」「STCWコード」及び12の「関連会議決議」を採択して閉幕した。

 

4. 改正条約の構成

 

既述のとおり、条約の「本文(条文)」は変わっていない。付属書の構成について、第I章の一般規定は「条約の遵守と検証方法」が最重要視された結果、規則の数が大幅に増加し、従来の規定も規制が強化された。第?U、?V及び?W章はできる限り整合性を保つように整理され、各部共通の事項は別にまとめられた。また、第V章「特定の船に乗り組む者に対する特別な訓練」と第V1章「職業上の安全」に関連する規定は大幅に強化された。
新しく設けられた第?Z章ではFUNCTIONAL APPROACHによる船内組織の抜本的な改正が諸般の事情で後退したあとを受けて、一種の甲・機両用制度ともいえる選択的資格証明制度が規定されている。また、第?[章は甲板部、機関部のそれぞれに規定されていた「当直中に遵守すべき基本原則」に無線当直に関する規定を新たに設けて一本化し、さらに「当直要員の休息時間」に関する規定を加えて独立した章になった。この結果、現在の付属書6章、25規則が8章、36規則で構成されることになった。
なお、78年及び95年STCW条約の構成比較表は別表(P.13)のとおりである。
STCWコードはPARTA(強制基準)とPARTB(勧告指針)から構成されている。PARTAは条約付属書の規則を補完するものであり、条約が十分効果を上げるため締約

 

 

 

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